どう猛なこのスズメバチの毒の中に心臓の不整脈症に効く物質が含まれていることがこのほど突き止められた。
スズメバチ一筋に研究を進めている理化学研究所(埼玉県和光市)昆虫薬理研究室の阿部岳研究員が発見!
スズメバチの毒の中に含まれている物質は分子量約400のペプチド(アミノ酸化合物の一種)。同ペプチドが心拍速度を遅らせると同時に心筋の収縮力を強化、不整脈症に効果があることが分かった。
スズメバチは毒作用を及ぼすマンダラトキシンやホスフォッパーゼのような化合物とセトロニンやアドレナリンといったホルモンに似た生体アミンが巧妙に混じり合っている。このうち、生体アミンは毛細血管を拡張させたり、心臓の作用を強くするなど循環器系を活性化、「本当の毒」の回りを速くする。
今回発見されたペプチドは、この生体アミンの一種。阿部研究員は「この物質を不整脈症患者に与えても、副作用は考えられない」と話しており、スズメバチの毒が持つ「思わぬ効能」が不整脈症の特効薬を誕生させる可能性も大きい。
(中日新聞 昭和62年3月9日掲載)
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